忍者ブログ
かけがえのない時間を胸に 刻み込んだかい

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

トイレいきたい

ぼちぼち夕飯の準備をしなければ…

USBメモリを挿して中身を確認したところ、2009/4/15に書いた文章が出てきたので投下。
高校卒業したてのわたし。恥ずかしい想いを今する必要性のなさ(笑)
まあ笑ってやってほしいです_(_^_)_




「まっすー、おはよ」
「あ、センパイ。おはようございます」

朝、2年1組の廊下側1番後ろの自分の席に着くと、見計らったようにして、明るい笑顔を貼り付けたセンパイが挨拶に来る。だいたい、いつも同じ時間。

「あ、今日はネクタイしてんじゃん。あっつくねーの?」
「今日は親が車で送ってくれるっつうんで。涼しかったです、クーラー」
「このぼっちゃんめが!」

そう言って、廊下側の壁に付いた窓から俺の頭をくしゃっと撫でる。せっかくのセットが台無しになってしまうのに。

「なんなら、今日一緒に帰ります?車で」
「え、いーのっ?うち遠いよ!」
「じゃあやです」
「オイッ」

3ヶ月くらい前に突然俺に話しかけてきたセンパイは、ちょっと恥ずかしそうに友だちになって欲しいと言った。それまでは面識なんか全然なくて、正直戸惑ったけど、悪い人じゃなさそうだし、何より俺を好いてくれると分かる笑顔が心地よくて、結局こうして毎朝顔を合わせている。

「変な感じっすねー」
「ん?なにがよ?」
「いーえ、何でもありません」
「変なやつめ」

センパイは小さい。身長なんか俺の肩くらいで、好奇心が旺盛なせいか、俺の隣を歩いていたはずなのにすぐに見失ってしまう。そのせいか、1つ年上なのに、なんだか目の離せない存在なりつつある。友情のカタチとは、不思議なものだ。

「あ、やべっ。そういや俺1限目移動だ!化学っ」
「え!化学室遠くないすか?早く行った方がいいですよ」
「分かってるっつーの!じゃなっ、まっすーまた昼休みっ」

言い残してバタバタと廊下を駆けて行く後姿。昼休みにもまた来るらしい。最近、センパイとばかりいるから、同級生の友だちに何となく距離を置かれている気がしなくもない。考え物だ。

「まー、いっか。楽しいし」

呟いて、バサリと適当に机に出した数学の教科書。その表紙にはいつの間にか、「2ねん1くみまっすーの教科書!!」とへたくそなセンパイの字で落書きされていた。

「うん、よし。昼休みは処刑で決まりだ」

今日も、穏やかな空気に包まれている。
PR